世界脳卒中デー

世界脳卒中デー2015・2016について

 日本脳卒中協会が加盟している世界脳卒中機構(World StrokeOrganization)は、2014年10月29日の世界脳卒中デーから、女性と脳卒中にスポットを当てた「アイ・アム・ウーマン:脳卒 中になったら」という世界キャンペーンを行っており、このキャンペーンは2016年まで継続されています。なぜなら、女性は男性よりも長命であり、高齢者 ほど脳卒中になりやすいため、一生の間に脳卒中を起こしやすく、また身近な家族やパートナーが脳卒中になったとき、女性が中心になって介護に当たることが 多いからです。資料の日本語版を下記からダウンロードできますので、ご参照ください。

【ダ ウンロード(PDF)】

 このキャンペーンには、脳卒中を体験された沼尾ひろ子さんがキャンペーン・パーソナリティとしてご協力くださっています。

なぜ、女性にスポットを当てるのか:海外のエビデンスから

一生の間に脳卒中を起こす確率は、男性の場合は6人に1人であるのに対して、女性の場合、5人に1人と女性の方がいです。特に85歳以上の女性 は、他の年代と比較して最も脳卒中発症の危険性が高くなります。脳卒中の主要な危険因子を持っている方は、実は男性より女性に多くみられます。女性特有の 危険因子もあります。脳卒中の危険因子である糖尿病、片頭痛(視覚に関する前兆のあるもの)、心房細動、うつ状態、高血圧は、男性より女性の方が持ってい る方が多いという報告があります。加えて、妊娠、子癇、経口避妊 薬(ピル)の使用(特に高血圧のある女性の場合)、閉経後のホルモン補充療法、ホルモンバランスの変化、妊娠糖尿病などは、女性特有の脳卒中の危険因子で す。

女性が脳卒中になると、認知機能の低下がより重度で、施設に入所する可能性が高く、脳卒中後にうつ状態になる危険性も高いことがわかっています。脳 卒中になった女性は必要性に見合ったケアを受けることが男性に比べて少ないという報告があります。

例えば、頭蓋内の静脈血栓による脳卒中や、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血は、女性により多く見られます。

介護負担は圧倒的に多く女性にのしかかってきます。これは重要な問題です。脳卒中などの重い病気になった配偶者を介護する女性は、精神的ストレスを 感じることが多く、「うつ」など、心の健康が損なわれる人も少なくありません。更に、うつ状態になった女性は、脳卒中になる危険性が高いことが報告されて います。

女性は発症年齢が男性よりも高齢であるため、しばしば脳卒中になる以前から独居で寡婦であることが多く、そのため、脳卒中後に施設に入所するケース が多く、男性よりも社会復帰が困難です。

脳卒中になった女性は、男性と比べると、十分なケアを受けられないことがしばしばあります。治療への反応には男女で違いはありませんが、女性のほう が急性期治療やリハビリを受ける機会が少なくなりがちです。

なぜ、女性にスポットを当てるのか:日本人のデータから

 日本人について、男女差という観点から分析された報告は、残念ながら多くはありません。我が国で報告された男女差を紹介します。

45才の日本人女性がその後亡くなるまでに脳卒中になるのは20.2%、男性では18.9%です。少しですが女性の方がいのです。 脳卒中には、脳の血管が詰まる脳梗塞、脳内の細い血管が破れて出血する脳出血、脳の動脈瘤が破れて脳の表面に出血するくも膜下出血があります。脳梗塞につ いては、45才の女性がその後亡くなるまでに脳梗塞になるのは15.6%、男性は15.0%、脳出血については、女性は1.6%、男性は2.4%、くも膜 下出血については、女性2.6%、男性0.7%です1)。脳梗塞とくも膜下出血については女性の方がリスクが高く、脳出血は男性の方がいことが分かりま す。 脳卒中の危険因子については、高血圧2)、糖尿病3)、脂質異常症4)、心房細動5)は男性に多く、うつ病6)、片頭痛7)は女性に多いことが報告されて います。

女性が脳梗塞になると、重症で、入院期間が長く、退院時のQOLも悪いことが報告されています。脳出血やくも膜下出血については、男女差がありませ ん8)。

くも膜下出血は女性が多いことが報告されています9)。

75歳未満の女性が軽症の脳梗塞になった場合、発症から入院までの時間が、同じく軽症脳梗塞の男性の2倍であったと報告されています。ただし、中等 症以上の脳梗塞や75歳以上では男女差はありませんでした10)。

出典:1) Tirin TC et al. Stroke 2010; 41:1552-4.
2) Miura K et al. Circ J 2013; 77:2226-31.
3) 厚生労働省. 平成24年国民健康・栄養調査報告. 2012.
4) 厚生労働省. 平成22年国民健康・栄養調査報告. 2000.
5)Ohsawa M, et al. J Epidemiol 2005; 15: 194-6.
6) 厚生労働省地域におけるうつ対策検討会, うつ対策推進方策マニュアル−都道府県・市町村職員のために−http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/01/s0126- 5.html#1.
7) Sakai F et al. Cephalalgia 1997; 17:15-22.  
8) 汐月博之他, 脳卒中データバンク2005,p38-39, 中山書店, 東京, 2005.
9) Kita Y, et al. Int J Stroke 2009; 4: 241-9.
10) 住田陽子他, 脳卒中 2009; 31: 346-348.

「アイ・アム・ウーマン」キャンペーン発信へのご協力を

 脳卒中の大部分は生活習慣を変えることによって予防可能です。脳卒中を撲滅するにはさらに、啓発、予防、急性期から維持期に亘るケアと支援におい て、女性への格別の配慮が必要です。この「アイ・アム・ウーマン」キャンペーンを、ぜひ一般市民にお伝えくださいますよう、皆さまのご協力をお願い申し上 げます。

より詳しい情報は、世界脳卒中デーのホームページhttp://www.worldstrokecampaign.org/でご覧になれます。このキャンペー ンに是非参加してください。そして、みんなで大切な命を守りましょう。

 プレスリリース(2016年10月28日)

 世界脳卒中機構(World Stroke Organization)は、世界脳卒中デーに際し、脳卒中診療体制の整備を全世界に呼びかけています。>>詳細(PDF)