2006年10月26日 世界脳卒中デー

世界脳卒中デー宣言

宣言起草委員長ハチンスキー博士

脳卒中:予防そして治療可能な世界のカタストロフィー

広まりつつある疾病                                   

脳卒中は予防可能。しかしながら、世界的に増え続けています。

・ 加齢、不健康な食事、喫煙、運動不足は、増え続けている高血圧、高コレステロール血症、肥満、糖尿病、脳卒中、心疾患、血管性認知障害の蔓延を勢いづけています。

・ 世界的には、脳卒中によって年間570万人が死亡し、虚血性心疾患に次いで、死因の第2位です。また、重大な身体的な障害の第一の原因です。脳卒中にならない年齢、性、人種、国はありません。

・ 脳卒中5件あたり4件は、低所得〜中所得の国で生じます。それらの国では、脳卒中の後遺症に対して、最低限のことしかできません。

・ もし何も対処しなければ、脳卒中による死亡は毎年増え、2015年には670万人に達します。

・ 既知の予防方法を講じれば、今後10年間に600万件の脳卒中死を回避することができます。

・ 脳卒中を予防によって減らし、治療し、そして後遺症に苦しむ方々のリハビリテーションを行うために我々ができることは沢山あります。

 

脳卒中予防の力に加わろう                                

幾つかの同じ危険因子が、世界中の主要な健康問題の主な原因です。しかしながら、共通の脅威に関する研究は、他の主要慢性疾患とは別に行われています。

共通のリスク要因である喫煙、運度不足、不健康な食事は、脳卒中、心疾患、糖尿病、慢性肺疾患の主な原因であり、アルツハイマー病のリスクになります。

そこで我々は:

・ これらの危険因子の増加を防ぐために活動しているすべての疾病別団体と協力して努力しなければなりません。

 

既知の予防方法を確実に実行しよう                          

予防は、我々のもっている知見の中で、最も簡単にかつ直ちに適用できるものです。しかしながら、予防はなおざりにされています。

そこで我々には、次のことを行う必要があります:

・ 健康的な行動を支える健康的な環境を後押しすること。

・ 一次および二次予防に効果的な薬剤を用いること。残念ながら、これらの薬剤は、多くの発展途上国においては手にはいらなかったり賄えなかったりで、先進国においては適切に使用されていません。

・ 効果が実証されていなかったり、経費がかかったり、間違っている方法は、対費用効果の最も良い取り組みについての資金を減らすことになるので、行うべきではありません。

・ 共通の言葉で、最低限必要なことを、オンラインの資料や遠隔指導、臨床現場での学習機会を設けることによって、保健に従事する専門職を、すべてのレベルで教育すること。

 

脳卒中の特異性を認識しよう                               

脳卒中の異なる病型、すなわち、虚血性(動脈の閉塞)、脳の中への出血(脳内出血)、脳の周りの出血(くも膜下出血)は特有の臨床経過をたどり、特別な治療とリハビリテーションを必要としています。

そこで我々には、次のことを行う必要があります:

・ それぞれの病型の原因とメカニズムを研究すること。

・ それぞれの病型の脳卒中に取り組むために、内科医、脳神経外科医、神経介入治療専門家(neurointerventinalist)、リハビリテーション専門家の有能なチームを組織すること。

 

血管性認知障害を見分け、治療し、予防しよう                        

無症候性脳卒中は症候性脳卒中の5倍の頻度でおこり、思考、気分や人格に影響を与えている可能性あります。

 そこで我々には、次のことを行う必要があります:

・ 血管性認知障害はしばしば見られることであり、時にアルツハイマー病の進行を早めるということを知っておくこと。

・ 脳卒中、血管性認知障害、アルツハイマー病に共通する危険因子(喫煙、高血圧、高コレステロール、運動不足、肥満、糖尿病)を管理すること。

 

脳卒中ケアとリハビリテーションのための学際的チームを発足させよう             

組織的な脳卒中ケアは予後を改善します。しかしながら、そのような脳卒中ケアを受けられることは、ほぼ全世界的に例外的です。

 そこで我々には、次のことを行う必要があります:

・ 簡素であっても包括的な脳卒中専門病棟(stroke unit)を設置すること。脳卒中専門病棟は、その最も基本的な形であっても、有効性が古くから証明されています。

・ 学際的チームが、開発、研究し、学術的根拠を臨床に応用できるようにすることを促すこと。

・ 脳卒中の衝撃に立ち向かおうとしている全ての人々の要望に対応できるヘルスケアシステムを構築すること。

 

世界中の一般市民に参加してもらおう                            

個人、有権者、あるいは支持者として活動している一般市民が、自分たち自身の将来のリスクとケアに最も強い影響を及ぼすことができます。しかしながら、十分なことがなされていません。

 そこで我々には、次のことを行う必要があります:

・ 一般市民、政策立案者、保健専門家の、脳卒中の原因と症状に関する意識を高めること。脳卒中の症状は痛みを伴わず、時に一時的です。しかしながら突然、

・ 運動麻痺やしびれが顔、手、足、に生じたり、突然しゃべれなくなったり、あるいは、他人の言うことが理解できなくなったり、片側あるいは両側の目が見えなくなったり、突然ふらつきが生じる場合は、激しい胸痛発作やこれまでに経験したことのない突然の頭痛と同様に切実な救急事態です。

・ 既存の脳卒中キャンペーンを統合し,さらに大々的に行うことによって、統一的な一貫したメッセージを世界中に発信すること

脳卒中は全世界的に広がっており、生命、健康、そして人生の質を脅かすものであるが故に、
脳卒中の予防と治療、リハビリテーションのためには、更に多くのことをなしうるが故に、
専門家と一般市民の認識がまず第一歩であるが故に、
ここに我々は世界脳卒中デーを宣言する

2006年10月26日、ケープタウンにて