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第1部 特別講演「脳卒中治療の最先端医療」

講演4「切らずに治す脳卒中」

 ISAT(アイサット)という、ちょっと難しいお話をします。これは、くも膜下出血の患者治療の際、クリップで挟む方法とコイル塞栓術を比較したデータです。ヨーロッパで2002年に発表されたものですが、どちらでもできるという動脈瘤の治療において、1年後に後遺症を残したもしくは死亡した患者が、どれくらいいたか調べたところ、コイル塞栓術の方が少なかったことがわかりました。一方コイル塞栓術の弱点として、100%の再出血予防効果がないのではないかということで、実際、治療後の動脈瘤から出血し再手術を行ったものが1年間で2例ほどありました。しかし1年以降の再出血率では差が出ていません。結論として、やはりコイル塞栓術の方が治療成績において優れているのではというものでありました。

 これは当時の新聞に大きく取り上げられましたが、こういう治療ができる病院は、まだまだ足りません。クリッピング術は長い歴史があるので、それを行う医師の数は多いのですが、新しい治療である塞栓術はまだ行う医師も十分育っていないという問題があるのです。現在は脳動脈瘤の塞栓術を行っている施設は、徐々に増えてきています。2002年、ちょうどここのところで発表があり、少し勢いづいたのですが、まだ十分ではありません。

 これは血管内治療で動脈瘤を治療した比率を全国地区別にみたものですが、東京、関西、中部地区では、20〜30%行われていますが、北海道ではまだ10%ぐらいです。全国平均では約15%といわれています。

 これは欧米との比較ですが、日本ではISATという報告により、10%が15%に増えましたが、アメリカでは50%を超えています。一方ヨーロッパでは50〜60%、さらには7割近く行っているところもあります。今後ますます、くも膜下出血の治療は、「血管の内側から治療する時代」になっていくものと思います。