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第1部 特別講演「脳卒中治療の最先端医療」

講演4「切らずに治す脳卒中」

 一例をお見せします。この方は10年前にくも膜下出血で手術され、頭の中に金属のクリップが2個入っています。10年経って、再びくも膜下出血起こして運ばれて来ました。血管撮影を行うと、クリップされた動脈瘤の横にまた新たな動脈瘤ができていました。

 塞栓術前の横から見た像ですが、この部分が動脈瘤です。動脈瘤が大きいのでカテーテルを2本入れ、2本のコイルをからめるようにして留置しています。おそらく、このとがったところが破れた場所でないかと思われます。最も気をつけなければならないのは、内頚動脈など正常な血管は温存して、こちらの動脈瘤だけ詰めることです。正常の血管が詰まってしまうと、くも膜下出血の治療はできたけれど脳梗塞が新たに起こってしまいます。そのようなことが起こらないよう注意する必要があります。

 これは脳血管撮影室で、ここの像を見ながら治療を行っています。放射線の力を借りて、外から残像を残してコイルがどこに入っているのか見ながらやっているわけです。コイルがプラプラ揺れていたのが、だんだん動かなくなってきました。動脈瘤の中にコイルがある程度入って固まった状態になったところで終了となります。

 しかしながら、コイル塞栓術がすべての動脈瘤でできるわけではありません。動脈瘤の頭と首の部分との比率が非常に大事になってきます。なぜかというと、コイルは「らせん形」なので、首が締まっているものは、入れると中にとどまってくれるのですが、首が富士山のようにすそ野の広い動脈瘤では、塞栓術が難しくなります。一般に塞栓術可能な動脈瘤の頭と首の比率は、最初のころは1.5といわれていましたが、最近は頭と首の大きさが1対1のものまでできるようになってきました。でもやはり「頭でっかち」が好かれます。