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第1部 特別講演「脳卒中治療の最先端医療」

講演3「手術で治す脳卒中」

 視床という脳の深いところには、体の感覚をつかさどるところがあります。ここに障害が起こると、脳卒中の後に、耐え難い痛みに苦しむ方が比較的多くいらっしゃいます。北大病院では、麻酔科の先生と共同で治療プログラムを作り、麻酔科でどのような薬が効果的なのか、ドラッグチャレンジテストを行います。痛みに対して有効な薬が見つかった場合は、麻酔科で薬による治療を継続します。無効、あるいは薬で一時期良かったのに効かなくなった場合は、患者さんの希望により、我々のところで外科治療を行います。

 一例をお見せしますと、頭頂部に手足を動かす部分があり、そこに電極を入れて電気刺激をすることになります。骨を開け、脳をおおっている硬膜を露出します。硬膜の上に電極を張り付けていきます。術後の写真を見ると、ここに電極が入り、リード線が下にきて心臓のペースメーカーみたいのものを前胸部の皮下に入れます。これで断続的に刺激をしますが、術後これぐらいあった患者さんの痛みが、黒矢印で刺激を入れているのですが、痛みを抑えることができる。この方は非常に効果があり、一度刺激をすると4日間ぐらい痛くない日もあれば、毎日しなければならないといったこともありました。今、1年以上たった時点で痛みはコントロールできているようです。

 手術と関係ありませんが、新聞、テレビにいっぱい出ている幹細胞のお話をしましょう。生きた細胞を移植することで、損傷された脳や脊髄(せきずい)を修復して神経症状をよくしようというもので、世界中で研究がなされています。私たちも少しではありますが、手掛けています。ES細胞から取って移植することや、神経の中にある神経幹細胞を移植することもなされています。自分の骨髄の中にある細胞を使って神経を修復しようという研究もなされています。骨髄細胞は筋肉にもなりますし、脂肪にも、肝臓や皮膚の細胞にもなり、心臓の筋肉細胞にもなります。また、神経系の細胞にも化けてくれることがわかっています。こういったものを使って、失われた機能を再生することがなされていますが、詳しいことはまだまだといったところです。