第1部 特別講演「脳卒中治療の最先端医療」
講演3「手術で治す脳卒中」
頸動脈が閉塞している患者の場合、脳に血が足りない状態が続くと脳梗塞をきたす危険性がとても高くなることがわかっています。バイパスにより、それを減少させたいのです。まったく脳はきれいなのですが、右の頸動脈が詰まっているために、血流が低下している。たまたま薬で様子を見ていたのですが、脳の血流が足りないところに脳梗塞を再発してしまいました。こういったものを改善するために、手術を実施しようということになります。
例えば、この方。首の部分で、先ほどの細い方と違って、閉塞しています。MRIでは脳にはまったく異常はないのですが、毎日、右の手足のしびれや脱力を訴えていらっしゃいます。TIA、つまり一過性の発作を起こしているわけですが、血流を調べてみると、左側の脳の血流が非常に低くなっています。
脳の血管に頭の皮の血管をバイパスします。そうすると、まひの発作が消え、術後、手術前には見えなかった左の脳の血管がよく見えるようになります。手術前、左側の血流が非常に低かったところが、右左遜色(そんしょく)ない程度まで改善しています。
脳出血は、先ほどのお話にもありましたように高血圧が大きな原因となっています。この方は左側に非常に大きな出血があります。小さな脳出血は内科的な治療で十分ですが、大きな場合には救命を目的として手術をする必要があります。術後、きれいに取れました。
私たちは一般的にこういったことを行っています。ただ、手足のまひを動けるようにするなど、後遺症を「治す」といったことは、もう少し時間が必要です。しかし脳卒中の後、半身の耐え難い痛みに悩まされる患者が以前からいらっしゃいますが、こうした症状が多少、よくなるのではという治療が出てきています。