第1部 特別講演「脳卒中治療の最先端医療」
講演2「薬で治す脳卒中」
これは1996年にアメリカでt-PAという血栓溶解薬が出て、それがより広く使われるように、そして脳卒中とはどのようなものかを啓発するための「ブレインアタックキャンペーン」で使われたポスターです。サブタイトルは「脳卒中は救急疾患である」。急性心筋梗塞を「HEART ATTACK(心臓発作)」と呼んで啓発活動を行った結果、救命率が高くなったことになぞらえ、脳卒中も救急疾患として一般の人に認知してもらおうというものです。右の方に書いてあるのは、「911に電話しなさい」、日本では「119に電話をしなさい」すなわち「救急車を呼びなさい」ということです。下に書いてある幾つかの項目は、「脳卒中は死につながることもある怖い病気です」「死なないまでも後遺症を残す大変な病気です」「だから脳卒中を起こしやすい危険因子を学んでください」「どういう症状が起こったら脳卒中を疑うのか知っておいてください」。アメリカの脳卒中協会が作ったポスターです。
アメリカ心臓協会が提唱している「ブレインアタックキャンペーン」では、どんな症状があったときに脳卒中を疑うのかを紹介しますと、(1)顔、手足など身体半身(上半身と下半身という意味ではなく、右手と右足、左手と左足という意味)が、ぶらんとして力が入らなくなる、半身が突然しびれるといった症状が出たとき。(2)急に片目が見えなくなる。特に起こりやすいのが半盲といって、右目で見ても左目で見ても両目で見ても視野の半分が突然見えなくなる。意外に気が付かず、交通事故などを起こしたり起こされたりして初めて気づくことがあります。(3)突然言葉がもつれる、話せなくなる、人の言っていることが突然理解できなくなりトンチンカンなことを話すようになったとき。(4)中年以降に今まで経験したことのないような頭痛が起こった場合。(1)(2)(3)は脳梗塞で起こりやすい症状ですが、(4)は脳卒中の中でもくも膜下出血を疑わなくてはいけません。5番目として、めまい感、体の不安定、突然倒れるなどの症状が、(1)(2)(3)(4)の症状に伴って起こった場合は、耳鼻科的なめまいではなくて脳卒中の兆候であることを疑わなくてはいけません。