第1部 特別講演「脳卒中治療の最先端医療」
講演2「薬で治す脳卒中」
図にしてもう一度説明しますと、これがアテローム血栓性脳梗塞です。頸動脈(けいどうみゃく)に動脈硬化が起こって狭くなって詰まったり、そこから血栓がはがれて脳に流れ、脳の太い血管を詰まらせるタイプです。心原性脳塞栓症は心臓の中に血栓ができ、それが大動脈、頸動脈などを流れて、脳動脈を詰まらせて脳梗塞を起こします。心臓にできる血栓は脳にできる血栓よりも大きい傾向があり、太い動脈を詰まらせるために大きな梗塞になりやすく、心原性脳塞栓症が一番重症の脳梗塞を起こしやすいということが問題になっています。ラクナ梗塞は脳の細い血管、これが一本詰まると直径15ミリ未満の小さな梗塞を脳の深い所に起こしますが、小さいので軽症の脳梗塞を起こしやすいということです。生活習慣病がまん延しているので、アテローム血栓性脳梗塞はどんどん増えています。心原性脳塞栓症は、3分の2は心房細動が原因で、これも増えています。ラクナ梗塞は、アテローム血栓性脳梗塞と心原性脳塞栓症が増えているので比率が少なくなっています。最近、脳ドックのMRIで検査を行うと、脳の深いところで小さな梗塞がたくさん見つかるようになったため、むしろ発見率は高まっているかも知れません。
これは厚生労働省のデータで、入院患者と外来患者の総数ですが、虚血性心疾患と脳出血の患者は、1968(昭和43)年からこのように推移しています。それに対し脳梗塞はどんどん増えています。しかもその増え方に拍車がかかっている現状です。脳血管障害患者数の1999(平成11)年のデータですが、この時点で150万人の脳卒中患者がいました。そのうちの75%、4分の3は脳梗塞というのが現状です。欧米ではすでに85%が脳梗塞ですが、その比率に日本も急速に近づいています。ですから今後の脳卒中対策は脳梗塞対策と言い換えても過言ではないと思います。