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第1部 特別講演「脳卒中治療の最先端医療」

講演2「薬で治す脳卒中」

 さて、わが国における脳卒中の重要性ですが、がん、心臓病に続いて、現在でも第3位の死因でありますし、介助を要する後遺症を残す最大の疾患でもあります。WHOでも身体障害を残す患者さんを含めてどのくらい多いのかが、疾患の重要性を示す指標として強調されるようになりました。そのような観点からすると、脳卒中は日本のみならず、すべての先進国で一番多い病気です。日本では毎年50万人以上の患者が新たに発生し、アメリカでも60万人を超えていると言われています。2020年には300万人を突破すると予測されます。また、ある予測によると2030年には世界中の脳卒中の死亡率は今より30%増えると言われています。現在、45歳から54歳の方が、亡くなるまでに脳卒中にかかる比率は、男性で4人に1人、女性で5人に1人と言われています。日本では介護医療の対象となる患者の3割以上は脳卒中であり、いわゆる「寝たきり」と言われるような長期臥床(がしょう)患者の3割近くは脳卒中です。その結果、日本の医療費の1割近くは脳卒中診療に費やされている現状があります。

 脳卒中を大きく分けると、血管が詰まって脳が酸素欠乏になり壊死(えし)に陥る虚血性脳卒中(脳梗塞(こうそく))と、頭がい骨の中に出血を起こす出血性脳卒中があります。出血性脳卒中で脳の中に出血を起こすのが脳出血で、頭がい骨と脳の間に出血を起こすのがくも膜下出血です。これは動脈瘤(りゅう)が破裂して起こります。

 脳梗塞はさらに二つに分かれ、脳血栓症と脳塞栓症と言います。脳塞栓症は、最近では心原性脳塞栓症と呼ばれています。脳血栓症はさらに二つに分かれます。その一つアテローム血栓性脳梗塞は、心筋梗塞と共通のメカニズムで、首の血管や脳の太い血管で動脈硬化が進行し、脳梗塞を起こすタイプ。もう一つラクナ梗塞は、高血圧による脳出血と共通の場所なのですが、脳の深いところの細い血管が動脈硬化で詰まって小さな梗塞を起こすタイプです。