脳卒中対策の法制化に向けた取り組み

脳卒中を予防し後遺症を減らすための法律を!

画期的な脳卒中(脳梗塞)治療法がわが国では普及していません

 脳卒中には、血管が詰まる脳梗塞、脳内の細い血管が破れて出血する脳出血、脳動脈瘤が破れて脳表面に出血するクモ膜下出血があります。このうち、これまで根本的な治療がないとされてきた脳梗塞に対する、超急性期の効果的な治療薬であるt-PA(血栓溶解薬)が、平成17年10月から医療保険で使えるようになりました。t-PA治療によって障害を残さない患者さんが1.5倍増えます。
 この治療は、発症3時間以内に開始しなければなりません。病院到着後、準備に1時間近くかかるので、発症2時間以内にはt-PA治療を実施できる医療機関に到達する必要があります。
 残念ながら、わが国で現在t-PA治療を実際に受けているのは脳梗塞患者の2%にすぎません。一般市民の知識不足と救急搬送や受入れ体制の問題で、多くの患者が、発症2時間以内にt-PA治療を実施できる医療機関に到達していないためです。

 

脳卒中対策についての法律が必要です

 現在、法律による解決が必要と思われる課題が二つあります。
 一つは、一般市民の脳卒中の予防や発症時の対応についての啓発活動を全国的に継続的に行うには、行政の力なしには限界があるということです。もう一つは、脳梗塞の画期的な治療法であるt-PA療法を普及するには救急搬送からt-PA治療を実施できる医療機関の整備まで、省庁を超えた制度的な対応が必要だということです。
 脳卒中予防のための知識、症状、発症時の対応方法を、公的な活動によって広く一般市民に普及させるには、法律が必要です。
 t-PA治療を普及させるには、脳卒中が疑われた場合には、t-PA治療をいつでも直ちに実施できる医療機関に直接搬送できるようにしなければなりません。 そのためには、脳卒中救急搬送計画の策定、救急隊員の教育、受け入れ側の整備などが必要です。したがって、救急搬送を管轄する総務省消防庁と、医療機関を管轄する厚生労働省との、省庁を超えた調整が不可欠です。これは、法的な根拠なしにはなかなか実現できません。
 これらの問題を解決し、脳卒中対策を一層充実させるために、日本脳卒中協会は、脳卒中対策の法制化、すなわち脳卒中対策基本法*(仮称)の制定が必要であると考えています。

 みなさまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

* 基本法は、国の制度・政策に関する理念、基本方針を示すとともに、それに沿った措置を講ずべきことを定めているのが通常です。そして、これを受けて、基本法の目的、内容等に適合するような形で、さまざまな行政諸施策が遂行されることになります。(参議院法制局ホームページ法制執務コラム集 基本法 小野寺理/「立法と調査」NO.209・1999年1月より抜粋)