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−もくじ− □ 脳卒中による痴呆にはどんなタイプがあるか?
脳卒中による痴呆にはどんなタイプがあるか?
○ 脳卒中による痴呆にはどんなタイプがあるのか 脳血管の狭窄や塞栓による梗塞、あるいは脳血管の破綻に伴う出血が原因で脳が損傷され痴呆に至った状態は血管性痴呆と呼ばれています。脳卒中で認知障害を生じても、痴呆の定義や診断基準に合致しないことも多いので、そのようなものも含めるため血管性認知障害と呼ぶ人も多くなっています。脳卒中から痴呆に至る過程にはさまざまな機序があり、それぞれに様々に経過、臨床像が異なるため、血管性痴呆は疾患名というより、複数の症候群の総称と考えるべきなのです。 次に代表的なタイプを3つあげておきます。
・大脳皮質を冒す単一もしくは複数の病巣による痴呆(図1) 大脳皮質が傷害を受けると、その部位に応じた特定の認知機能が障害されます。その範囲が大きかったり複数の領域が傷害されると、それに応じた複数の認知機能が障害され、その組み合わせで定義的には痴呆と呼べる状態になります。痴呆の症状は障害される領域により異なり、一定のパターンを示しません。通常脳卒中発作に引き続いて発症します。あるいは初回発作で急激に生じた症状がある程度固定した後に再発作で再び新たな症状が加わるという、いわゆる階段状増悪の経過をとります。脳に行く大きな動脈の動脈硬化による血栓症あるいは心臓に生じた血栓が脳に行く動脈に詰まった塞栓症によって生じます。CTやMRIにより大脳の病巣が描出され、症状を分析すれば病巣部位と対応した認知障害、例えば失語症や失認などがあることが分かります。
・大脳皮質機能に影響を及ぼす大脳皮質下の小病巣による痴呆(図2) 大脳皮質下の小病変が大脳中心部にある大脳基底核や視床とよばれる神経核と大脳皮質を結ぶ経路を絶ち、二次性に大脳皮質の機能障害が生じ、痴呆や認知障害をもたらします。主として高血圧が原因で細い動脈の狭窄や閉塞で、ラクナ梗塞といわれる小さな脳梗塞によって起こります。多くは多発性です。脳卒中発作として急性に発症することもありますが、中には発作がはっきりしないままいつの間にか病変が生じていることもあり得ます。突然に起こる痴呆が脳卒中の発作そのものであることもあり、病変の部位によっては直径1 cmにも満たないような脳梗塞で痴呆が生じてしまうこともあります。SPECTやPETなどを用いて脳血流や脳代謝を調べると、主として前頭葉に血流や代謝の低下が示されます。症状は場所により異なりますが、意欲や関心が低下し、注意散漫になったりあるいは集中することが難しくなります。また逆に脱抑制といって、自分を抑えることが難しくなり、勝手なことしたり、すぐに怒り出したりといった症状もよくみられます。記憶回路が損傷に含まれると記憶障害も起こってきます。しばしば運動系の神経経路も同時に障害していて、仮性球麻痺、パーキンソン症状、片麻痺など神経症候を伴います。
・大脳白質の病変による痴呆(図3) CTやMRIの進歩に伴って大脳白質の異常がよく発見されるようになりました。この所見は高齢者に比較的多くみられ、また高血圧と関係しています。慢性的な脳の虚血により、大脳白質がびまん性に障害されたためと考えられています。多くは痴呆とは関係がありませんが、そのようなものの中にビンスワンガー病という進行性の痴呆が生じる病態があります。ゆっくりとあるいは階段状に増悪する痴呆や無為・無関心などの精神症状がみられ、仮性球麻痺・錐体路症候・錐体外路症候とよばれる神経症候、歩行障害、失禁などの神経学的障害を伴います。
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