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−もくじ− ■ 頻度と発症時期 □ 新世代の抗うつ薬 ―そのメリットと注意点―
新世代の抗うつ薬 ―そのメリットと注意点―
脳卒中後のうつは高齢者に多く、一般のうつ病と比較すると抗うつ薬への反応性が不良であり、容易に認知機能障害やせん妄などの中枢神経副作用が出現しうると考えられています。 脳内には何種類もの神経伝達物質が存在していますが、セロトニンやノルアドレナリンは気分や意欲などの情動に関与していると考えられています。脳梗塞後のうつの発症機序について、セロトニンやノルアドレナリンは脳幹部から大脳皮質へ投射されており、脳梗塞によってその投射経路が遮断されることによるものと説明されています。 うつ病の治療として従来から三環系抗うつ薬が使用されてきました。この薬は、セロトニンの取り込み阻害とノルエピネフリンの取り込み阻害の両作用以外にも、ヒスタミン受容体遮断作用、α1受容体遮断作用、アセチルコリン遮断作用があり、眠気を起こしたり、ふらつきを起こして高齢者の転倒の原因になったり、便秘や尿閉となったり、物忘れなどを来して思考能力を低下させたり、直接心臓に作用して不整脈を起こしたりする可能性があります。さらに、アセチルコリン遮断作用のある薬物は脳卒中後の運動機能の回復を妨げることが知られています。 こうしたなかで、我が国でも1999年に抗うつ効果のみではなく、安全性も高いとされる選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、2000年にセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SSRI)が登場してきました。 SSRIはセロトニンのトランスポーターに選択的に作用し、再取り込みを阻害することにより効果が現れると考えられています。三環系抗うつ薬でみられるようなアセチルコリン遮断作用や心毒性が少なく、長期に及ぶ維持療法が可能で、大量服薬に伴う危険性が少ないとされています。 主な副作用として、脳内あるいは消化管のセロトニン受容体を刺激することによる嘔気、嘔吐などの消化器症状が現れることがあります。また、もともと不安が非常に強いひとに使用した場合、かえって不安、不眠などがひどくなったり、性機能障害面での副作用が出現することがあります。 脳梗塞後のうつに対してSSRIを使用した場合、効果の発現には約1〜2週間を要すると言われています。この期間投与を続け、それでもなお効果が得られない場合には、薬剤の変更を検討すべきです。各SSRIはセロトニンの再取り込みを阻害する作用は共通ですが、化学構造が異なるため、あるSSRIは効果が不十分でも他のSSRIは効果を示す可能性もあります。投薬を中止する時期については、効果が得られたからといって直ちに投与を中止するのではなく、ある程度セロトニン系の伝達が安定した状態が得られると考えられる約4ヶ月以上を経過してから症状が安定しているのを確認したうえで徐々に減量して中止していくのがよいと思われます。 SNRIはセロトニンとノルアドレナリンの両方のトランスポーターに選択的に作用し、再取り込みを阻害することにより抗うつ効果を現します。海外では三環系抗うつ薬と同等、SSRIに対しては同等以上の抗うつ効果が示されています。安全性に関しては、SSRIと同等で三環系抗うつ薬に優るとされ、SSRIの副作用である不眠とは逆に、不眠の改善が認められています。 以上より、SSRIやSNRIは現在、脳梗塞後のうつに対しての第1選択薬と考えられます。しかし、各個人個人で効果は異なり、全例で効果があるわけではありませんので、副作用がないので長期服用を継続するということは避けなければならないと思われます。 |