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  脳卒中後の嚥下障害

  自宅でできる嚥下訓練

  嚥下障害の方のための食事の工夫

 


 

嚥下障害の方のための食事の工夫
-栄養士の立場から-

長谷川会湘南ホスピタル 
栄養科 林 静子

 嚥下障害があると、食べ物がうまく摂取できないために栄養状態が悪くなり、その結果、体力や免疫力が低下して、病気が悪化したり、合併症を起こしたりします。このような場合、水分摂取も不十分となり、脱水状態になる危険もあります。また、いつも窒息や誤嚥の危険がつきまとい、食べることが苦痛になり、食事を楽しむことができません。

 嚥下障害があるときは、必要な栄養量をバランスよく満たすとともに、誤嚥をしないように食品の選び方や調理の形態に注意することが必要です。

 誤嚥をしやすい食べ物としては、水や水のようにサラッとした液体(お茶、みそ汁、ジュースなど)、硬くて口の中でバラバラになってまとまりにくいもの(肉、かまぼこ、いか、たこ、こんにゃく、ごぼう、たけのこ、れんこんなど)、水分の少ないもの(パン、カステラ、いも類など)、口の中に付着しやすいもの(のり、わかめ、青菜類など)、粘りの強いもの(もち、だんご、生麩など)、酸味の強いもの(酢の物、柑橘類、オレンジジュースなど)、喉につまりやすいもの(ピーナツ、大豆など)があります。

 嚥下障害の方に適した食べ物とは、噛まなくても舌で押しつぶして食べられる軟らかさで、ツルッと滑るように喉を通過するもの(ただし、スピードが速すぎても危険)、口の中でバラバラになりにくく、しかも、べたつかないなどの条件を満たしているものです。

 具体的な調理方法や利用できる市販食品などについてお話しします。

 水や水のようにサラッとした液体は、冷たいうちに(熱いものは一度さましてから)小麦粉やかたくり粉を加えてよく混ぜ合わせて火にかけ、とろみをつけます。かたくり粉の場合は、水溶きしたものを後から熱い液体に加えてもかまいません。インスタントの増粘剤を使うと簡単にとろみをつけることができます。あるいは、ゼラチンを加えて弱火にかけ、ゼラチンが溶けたら冷やしてゼリーにします。ゼラチンは手間がかかると思われるかも知れませんが、ふやかさなくても熱い液体に直接振り入れることのできる便利なゼラチンも市販されています。寒天を使用したゼラチンは口の中でバラバラになりやすく、障害の状態によっては適さないことがあります。

 肉、魚、いも類、野菜、果物などは、いったん軟らかく調理します。その後で裏ごしやミキサーにかけ、水分が少ないときは少し足して液体と同様にとろみをつけるか、ゼリーにします。

 卵は、固まる力を利用して卵豆腐、茶わん蒸し、カスタードプリン、カスタードクリームなどにします。卵豆腐や茶わん蒸しは寒天ゼリーと同様に口の中でバラバラになりやすいので注意してください。

 一般に市販されているヨーグルト、プリン、ゼリー、絹こし豆腐、ごま豆腐、ベビーフードなどをそのまま利用することもできます。また、最近では、嚥下障害用の調理済み食品が多数販売されています。

 ここで、インスタントの増粘剤について説明します。とろみ調整のできる商品として、スルーソフトS、トロミアップA、トロメリン顆粒、シック&イージ、ムースアップ、エンガード、ハイトロミールなどが市販されています。特長は液体食品、刻み食、ミキサー食などに、温度に関係なくとろみをつけることができ、小麦粉やかたくり粉のように火にかける必要がないことです。使い方は、液体については撹拌しながら増粘剤を少しずつ加えてます。ミキサー食は、直接増粘剤を加えてミキサーにかけます。刻み食は水や薄味のスープなどに増粘剤を加えてとろっとさせたものを混ぜ合わせます。

 一般的なお話をいましたが、障害の状態によって食べられる食品やその形がちがいます。状態に応じてとろみの濃度やゼリーの固さを調整しなければなりません。また、障害が重いときは、経管栄養や静脈栄養も必要です。栄養士にご相談ください。

 


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