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−もくじ− ■ 概論・薬物療法 ■ 脳神経外科的治療 □ リハビリテーションの観点から
リハビリテーションの観点から
脳卒中後に見られる痛みやしびれは、麻痺のように外からは見えないものですから、他の人からもなかなか理解してもらえず、苦労なさっている方も多いと思います。それらの原因として、(1)脳卒中そのものによるもの、(2)脳卒中による麻痺や筋力低下から二次的に生じるもの、(3)脳卒中以外の合併症から生じるものがあります。この中で最も多いのが(2)で、とくに麻痺した側の肩や手の痛みです。 (2)の二次的な痛みに関しては、リハビリテーションの目的で入院してこられる患者さんのうち約半数に、麻痺した側の肩関節の亜脱臼が見られます。痛みの程度が強い場合には、肩手症候群といい、痛む範囲も肘や手関節、手指にまで広がり、動かしたときだけでなく、じっとしていても痛みがみられます。麻痺した腕はそのまま肩にぶら下がるような格好になりますので、肩にとって非常に負担になることが一番の原因で、その原因を取り除くことが大切です。すなわち日常生活の中でそのような負担を減らす工夫をします。 例えば、上を向いた姿勢で寝るときは、麻痺のある側の肩の下に枕を置き、上肢もその枕の上にのせて腕や指も少し持ち上げて伸ばした状態にします。もう一つの枕をお尻の下から大腿部にかけて置き、骨盤を前にだし、足が外側に向かないようにします。ここで大切なことは、たとえ見かけ上が上肢の問題であっても、体幹や下肢の姿勢すべてがそれに影響を与えることです。このことは座っている場合でも同様です。まず、体にあった車いすやいすに座ることが大切で必要に応じて背もたれやクッションを用います。テーブルの上に手をのせて背筋を伸ばし、股関節が屈曲した姿勢が望ましく、車いすから体が斜めに滑り落ちているような姿勢は避けなければなりません。上肢の麻痺が強い場合、歩行時にも肩への負担を減らすために、三角巾などで上肢をつる場合もありますが、固定の時間が長すぎると逆に麻痺の回復を妨げることもありますので、医師やセラピストと相談して下さい。 足の浮腫とそれに伴う痛みは、特に麻痺が強く歩行が困難な方によく見られるものです。弾性ストッキング(膝まで以上のもの)、足浴・マッサージ、臥位になるときに麻痺した足を少しあげて寝ることなどにより、軽減効果が期待できます。あまり程度が強いと足の深部の静脈がつまっている可能性もあり、重篤な合併症をひきおこす事もありますので、医師の診察を受けて下さい。 また、麻痺した手足を長い間、動かさずにいると関節そのものが固まって(拘縮)、痛みを引き起こす原因になりますので、痛みが生じない程度に一日に数回、他動的に動かす必要があります。具体的なやり方については一度セラピストの指導を受けて下さい。 (1)の脳卒中そのものによるしびれや痛みは脳の中で感覚に関係した部分に病変があるときに起こります。特に視床とよばれる部位の損傷で起こることが多く、これに対しては薬物療法や重度な場合は脳外科的治療が主体となります。ただこのような場合でも、前述したような姿勢の問題が症状をより増悪させていることもありますので注意が必要です。 (3)の脳卒中以外の合併症から生じるものとしては、糖尿病による末梢神経障害、骨粗鬆症や脊椎の変形、それによる神経への圧迫による痛み、などがあります。これらの合併症をお持ちの方は、痛みの原因について詳しく調べてみる必要があります。 最後に、痛みやしびれ全般についていえることですが、脳卒中の後に感情の問題として、うつ状態が合併することがしばしば見られ、その頻度は30%から40%とする報告もあります。このような場合、抗うつ剤による治療が有効で、痛みやしびれそのものが良くならない場合でも、それらから来る不安、恐怖などを和らげ、より快適な生活が期待できます。うつを判定する簡便なスケール(Zungのうつスケール)もありますので担当医と相談してみてください。 |