第16回循環器病チャリティーゴルフ講演会

 

−もくじ−

  まえがき

   講演


今、脳卒中を考える

国立循環器病センター名誉総長
日本脳卒中協会会長

山 口 武 典

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 血管が詰まる病気,つまり脳梗塞の治療法としては、血管を詰めた血栓を溶かす方法と、血流が途絶えたために酸素・栄養不足で死にかけた細胞を薬で何とか治そうという2つの方法があります。しかし、その前に専門病棟で専門家チームによる治療、これは心筋梗塞の時のCCU、 coronary care unitに対して 脳卒中のSCU、 stroke care unit という病棟で、専門家チーム、つまり医師だけではなく看護師、リハビリテーションスタッフの三者が協力して全身管理を徹底する。それによって特別な薬を使わなくても非常に治りがよくなるという事が分かりました(スライド5)。

 たとえば、デンマークから報告されたデータですが、stroke unit、脳卒中専門病棟で治療した患者さんでは、一般病棟で治療した患者さんに比べて、死亡率が大体4割以上減ってくる。家庭への退院が2倍ぐらいに増える、そして病院にいる日数が3割減る、と報告されています。

これはどの様にして調べたかといいますと、デンマークでは、ある地域の人は一つの病院に全員が入院する、ほかの地域は必ず他の病院に入院することになっている。一つの地域にはstroke unitがあった。ということで数1000例を対象にして比べて、やはりstroke unitで専門家の手によって入院当初から治療する事は非常に良いということが分かりました。申し上げたいことは、脳卒中の治療で最も大切なことは専門家チームの居る専門病棟で治療するということです。

 初めにも申しましたが、画像診断と治療の進歩についてもう一回お話します(スライド6)。CTが発明される前、つまり1970年以前は脳出血と脳梗塞の鑑別は勿論、脳卒中の診断も100%つけることは困難だったのです。CTが出てきて脳の中が見えるようになって、脳出血の外科治療が非常に進歩してまいりました。しかし脳梗塞はもう完成して出来上がってからしか分からないという状態だった。それがこのMRI(磁気共鳴画像)、中でも「拡散強調画像」、「灌流強調画像」というような画像診断法が出てまいりまして、脳梗塞の超早期の診断が可能になりました。

 例えば、ここにあるのが発症2時間目のMRIですが、「潅流画像」というのはどの辺の血の流れが悪いかというのが、たちどころに分かるわけです。ご覧になって分かりますように、上段の画像の向かって右側が全体に白くなっています(スライド6、右側上段)。これは血流が非常に悪い部分です。ところが拡散強調画像で見ると脳梗塞になっているのはごく一部分だけで、それ以外はまだ細胞が死んではいないというのが分かるのです(下段の画像白い部分、矢印)。そこで細胞が死ぬ前に血流を回復させたらよいという考えが出てきたわけです。

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▼スライド5

スライド6

 

スライド6
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