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−もくじ− ■ 総論 □ 車椅子と歩行補助具の上手な選び方 ■ 住宅改造のヒント
車椅子と歩行補助具の上手な選び方
○車椅子 車椅子には座って休む椅子の役割と、座ったままで移動する移動手段としての役割が求められます。椅子の安楽性は座席と背もたれの形で決まります。電車やバスで長時間旅行した人なら、椅子の善し悪しが疲労にどれほど影響するかは御存知のとおりです。座面は膝と足を直角にして足底全体が地面に付くことのできる高さで、その幅はお尻の幅よりも左右に2〜3cm広く、前後の長さは深く腰掛けて膝の後ろが坐面にあたらず、その形状は大腿下面の全体を広く支え坐骨(左右のお尻の骨)が少し沈み込める、背もたれは骨盤を後方に包み込んで腰椎を後方から軽く押す(ランバーサポート)形状が疲れにくいはずです。 車椅子の駆動は麻痺していない手だけで車輪を回しても直進することができません。それで麻痺していない手で車輪を回しながら、足で地面を蹴って方向を定め前進します。この特有の方法は練習しないと習得できませんが、一度は練習して可能性を確認し、それが可能なら介助用ではなく自分で動かせる自走式車椅子を選択すべきです。自走式車椅子は座席の高さが下腿の長さと一致していること、車椅子全体が軽快であることも重要です。 病院に常備されている車椅子は通常は重く大きすぎて、手足が不自由な人が使うのは困難です。少なくともリハ専門病院、リハ病棟では患者自身がこげる軽快な車椅子を常備して欲しいものです。 一方、介助用の車椅子はグリップが介助者の押しやすい高さと角度に取り付けられており、坂道の多い地域で使う場合にはグリップに自転車と同じ仕組みのブレーキが付いている必要があります。 車椅子は屋外では段差が屋内では建物の幅が障害になります。段差は小さい方の前輪を宙に上げて乗り越えます。車椅子の幅は通常で65cm近くあります。それで戸口の幅は75cmが望ましく、廊下を直進するには90cmが必要です。 ○下肢装具 下肢の装具は膝上から支える長下肢装具(LLB)と、膝下で支える短下肢装具(SLB)に分類されます。夫々は使用する材料で金属支柱付き装具(アルミニウムの支柱で支える)とプラスチック製装具にも分類されます。 (1) 長下肢装具は下肢全体の支持性がまだ不十分な段階で早く起立歩行練習を開始したい時や、発病後日数が経って障害が重い場合に歩行機能を維持したい目的でも使われます。 (2) 短下肢装具は足首を支え、爪先を床から上げるのが主な目的で広く使われる装具ですが、膝の支持性を補強する効果も期待できます。 金属支柱付きの装具を屋外で使用する場合には支柱に靴を接続し、屋内で使用する場合には柔らかい皮で作った足部覆いを接続します。金属支柱は麻痺が強く下肢の支持性の不足が著しい時や、痙性(筋肉の突っ張り)が強くて変形を矯正する必要がある時に使用されます。 プラスチック装具は軽量で市販の靴を履くことができ屋内でも使用しやすいのですが、支持性は金属支柱よりも劣ります。 支柱の高さは膝下直下迄の長さで製作されます。麻痺が非常に軽い場合には例外的に足首だけを支える短いものが使われることもあります。しかし梃子の原理を思い出して頂きたいのですが、装具をやたらに短くすると、釘抜きの柄を短くしたのと同じ理屈で、支える力も不足して効果を発揮できません。装具は形も悪く目立ちますが、練習の初期には歩行を早く実現する道具として積極的に使用すべきものです。 また脳卒中片麻痺では普段の生活で転倒して大腿骨頸部骨折を起こす人が非常に多いので、できるだけ活用していただきたいと思います。装具を着けないことが練習になると思う人が多いようですが、装具が練習効果を低くすることは決してありません。 それよりも転倒による骨折の方がはるかに恐ろしい危険に繋がりかねないと理解していただきたいのです。 ○歩行補助具
下肢の支持性がさらに向上すれば普通の杖に変更します。杖は握りの部分がT字の形をしたT字杖を使用します。体重を支える杖はその高さが重要です。腕の力を十分に発揮させるためには、肘を30度屈曲して体重を支えると有効なので、足の底から大転子(股の付け根の高さで大腿骨の外側の突出部)迄の長さに一致したものを使います。 歩行器は脳卒中片麻痺では使い難いので記述を省略します。 写真は Semi LLB と我々が呼ぶ正規の長下肢装具よりも少し短い長下肢装具です。脳卒中片麻痺では、脊髄損傷対麻痺と違って歩行訓練を開始する頃には、起立すると下肢は支持性をある程度発揮できることが少なくありません。それで、支柱が股関節まである正規の長下肢装具ではなく、このような大腿中央部までの装具を使用する場合が多いのです。大腿部と下腿部の周囲をくるむ部分は後方がアルミで補強されていて大腿半月と下腿半月と呼びます。膝の部分の継手(ジョイント)は起立時にはリング状のロックで伸展位に固定し、座位では外して曲げることができます。この装具では足首の継手は軸の前後にネジがついて、歩行能力に合わせて足首の可動範囲を変えられるようになっています。膝関節もそのようにすることが可能です。足を覆う部分は柔らかい皮で作った屋内用の足部覆いです。下腿にネジが4個ついていますが、歩行能力が向上したら此処で大腿部を外して短下肢装具にすることができます。 |